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2025年<ノーベル経済学賞>イノベーションが経済成長を駆動する・・・「創造的破壊」にはプラスとマイナスの両面、R&D投資は大きければいいのか?

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ノーベル経済学賞や経済学全般に詳しい政策研究大学院大学の安田洋祐教授によると、「アギヨン─ホーウィットモデルの面白さは、イノベーションの源泉であるR&D(研究開発)投資が過大にも過少にもなりうることを自然な形で表現できる点にある。例えば先行するローマーモデルでは、技術の進歩につながるアイデアは正の外部性を持つため過少になるとされ、過大なR&D投資は想定されていなかった」。

創造的破壊のサイクルにおいては、創造のメリットを破壊のデメリットが上回ることがある。R&D投資の過熱は社会に負の影響を与えうるのだ。では現実のR&D投資はどういった状況か。実際のデータを用いてその分析、判断を行うときに、アギヨン─ホーウィットモデルが生きる。

「授賞理由が記された資料では、持続的な経済成長は放っておいて実現するものではないと強調されている。市場任せにせず、イノベーションに関する環境や制度の整備を通じて未来を選び取ることの重要性。市場の失敗への警鐘。これも選考委員からのメッセージではないか」(安田氏)

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