従来の記録と異なり、あらゆるポジションの野手も投手も同列で比較できるので、MVP投票では最重要視される指標だ。
WARは、記録専門サイトのBaseball ReferenceとFangraphsから出されている。それぞれrWAR、fWARと表記されるが、今季のこのWARのナ・リーグベスト3はこうなっている。
1ポール・スキーンズ(パイレーツ)7.7
2クリストファー・サンチェス(フィリーズ)7.6
3大谷翔平(ドジャース)7.5
1大谷翔平(ドジャース)9.2
2ジェラルド・ペルドモ(ダイヤモンドバックス)7.1
3トレイ・ターナー(フィリーズ)6.7
2社のWARは、組み入れる指標や計算式が違うので、こうした差異が出る。rWARでは大谷は3位だが、1位のスキーンズ、2位のサンチェスともに投手。21世紀以降のMLBでは、最も貢献度の高い投手はMVPではなく、サイヤング賞にまわることが多いので、大谷はMVP候補としては1位になる。fWARではダントツの1位だ。
ロバーツ監督が大谷のMVPを確信する背景事情
大谷の場合、打者としては守備にはほとんど就かず指名打者(DH)専従となる。WARの計算上は、DHは守備に就く野手よりも不利なのだが、それをはね返す打撃成績を上げているのだ。

それに加えて、今季は6月に、2回目の右ひじ靭帯再建手術のリハビリを終えて投手としても復帰、14試合に登板して1勝1敗ながら47回を投げ62奪三振、防御率2.87を記録、最長で6回しか投げなかったが、高いパフォーマンスを見せた。この投手としてのWARも加算されている。投手大谷のWARは、rWARでは1.1、fWARでは1.9、これがあるから、他の打者は届かないわけだ。
MVP投票はMLB取材歴が長い記者の投票によって決まる。記者は数多くの指標の中でWARを最も重要視しているとされる。ロバーツ監督が「彼がMVPなのは間違いないのだから」というのは、このためだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら