松下幸之助、稲盛和夫、藤田田、孫正義… 名経営者たちの金言に学ぶ「増長する若手社員」を上手に遇する社内処世術
互いを攻撃し、言いたい考えをぶつけ合えば、衝突は避けられない。礼節を守りつつ、言うべきことを語る謙虚な弁者であることが望ましい。
ところが近年、この日本人らしい礼節と謙虚さを忘れてしまった人が増えている。上司にタメ口をきく若手社員の話題がメディアで取り上げられるのは、一部の現象とはいえ、看過できない兆しである。
現代の職場環境は、かつての戦国時代を思わせる側面がある。部署間の利害が絡み合い、個々が自らの立場を守るために駆け引きを繰り返す。油断すれば背後から斬られるような緊迫感が漂う場面もある。こうした状況では、心理的安全性の確保がますます重要になる。だからこそ、茶道の精神が今こそ必要とされる。
「ふり」は茶道における「和敬清寂の所作」に通じる。それは、相手を敬い、場を清め、心を静めて対話に臨む姿勢を意味する。立場や年齢を超えて互いを尊重し、調和を保つためには「ふり」が必要である。茶道の精神は、現代の職場における心理的安全性の本質を、400年以上前から体現していた。
「売り手市場」バブル期と現代の相違
残念ながら、このような日本の精神に基づく思想、哲学を語る経営者が今ではほとんど見られなくなった。中間管理職は、経営側のプレッシャーと若手社員の要求の間に挟まれ苦闘しながらも、美輪明宏氏が熱唱する「ヨイトマケの唄」の替え歌になるが、「家族のためならエンヤコーラ」と今日もストレスを抱え続けながら労働している。
中間管理職が部下の指導に手こずれば、昔なら人事が若手社員を「飛ばした」。だが、今は難しい。経営側は少々生意気でうるさくても優秀な若手社員の転職を阻止するため、中間管理職に辛抱を強いる。
若手社員の育成を理由に中間管理職を「罰ゲーム化」しているようでは逆差別である。そのような会社なら、若手社員も辞めていくだろう。本当に優秀な若手社員を転職させないでおこうと思えば、中間管理職を大切にし、「私もあのようになりたい」と若手社員に思わせなくてはならない。
ある若手社員の管理で悩んでいる中間管理職と話していると、次の質問をしてきた。
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