なぜあの若手は態度がデカいのか? 「上司を上司とも思わないZ世代」を劇的に変える"驚きの処方箋"
「情報伝達」については、組織内外の情報を収集し分析する「監視役」、情報を組織内に伝達する「散布者」、組織の代表として外部に情報を発信する「スポークスマン」に分けた。中間管理職が永遠の「指示待ち」タイプを指導するうえで役立つのが、「散布者」の役割である。
言葉を表面的に捉えると、ハンコを押しているだけの生産性が低い、昭和型管理職を思い浮かべるかもしれない。ここでいう「散布者」は、ただ指示を出すだけでなく、その仕事の目的や、それが組織全体にどう影響するかを丁寧に伝える役割を意味している。
この役割を着実に果たすことで、指示待ち社員は仕事の意義を理解し、自ら動き出すきっかけをつかむことだろう。そして、小さな成功を積み重ねることで無力感を克服し、自信を回復させれば成功だ。
② 成功体験を経て「天狗」になるタイプ
成功体験を経て「天狗」になるタイプは、最初は「指示待ち」であるが、小さな成功をきっかけに態度が急変する。これは、これまで抑圧されてきた自己肯定感が、不健全な形で爆発するためである。困難なことでも自分ならできるという「自己効力感」が、急激に高まった状態といえる。
彼らは、過去の成功体験が少なかった分、一度の成功を過剰に自己評価する傾向がある。天狗になり勘違いしている点を上司から厳しく指導されると、自己の能力や「完璧さ」を否定されたと認識して、感情的になり反発する。これは自己防衛である。「パワハラです」という反応はその典型例だ。
人手不足の職場では、若手が早い段階で重要なプロジェクトや顧客を担当させられる。十分な経験を積む前に大きな成功を収めてしまうと、過度な自信が生まれ、「自分は特別な存在だ」と錯覚しやすくなる。これが「天狗」になる心理的要因を強めているのだ。
会社は彼らの能力を評価する一方で、その態度の変化に戸惑う。彼らの才能を伸ばしたいが、組織の和を乱す言動には手を焼いている。中間管理職は、彼らの自己効力感を健全に育むことが重要だ。人は褒められることで脳内報酬系が刺激され、神経伝達物質のドーパミンを分泌し、やる気が出てくる。
とはいえ、上司は「すごいね」といった抽象的な褒め言葉は控えるべきである。彼らの過信を助長するかもしれないからだ。結果だけでなく、プロセスも評価するといい。
例えば、「この部分の資料作りは極めて丁寧で助けになった」というように、具体的な行動に対する適切な評価が不可欠である。また、彼らが他者の意見を尊重する姿勢を学ぶために、チームでの協業を通じて、その重要性を体感させることが望ましい。
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