パワハラを避ける上手な叱り方&注意の仕方。「自分はこうやってきた」との思いを押し付けない

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部下を叱責する上司
(写真:すとらいぷ / PIXTA)
40~50代のビジネスパーソンにとって、部下との「会話力」は組織内で生き残るための必須条件。『週刊東洋経済』5月31日号の第1特集は「最強上司の会話力」だ。
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「今の若手はどうしたらやる気になるのか?」、あるいは「パワハラになるのが怖くて何も言えない」。管理職向け研修において、よく耳にする若手育成に関する悩みだ。

上司の多くは「時代が違う」という認識はある。しかし、今の若手に対する理解が追いついていない。「自分はこうやってきた」との思いが強く、つい、それを目の前の若手に当てはめてしまうのである。

例えば上司が若手に対し体験談を語るときに「苦労」という言葉を連発する。これらは「仕事は苦労するものだ」「成功は困難を乗り越えて得られる」といった、日本的な美徳に基づいており、昭和の時代に育った40〜50代にとってはなじみ深い認識だ。

若手は言葉をそのまま受け取る

しかし、若手にとっては、苦労は乗り越えるべき壁ではなく、単につらいことでしかない。だから上司の話からネガティブなメッセージのみを受け取り、不安感に包まれた状態で、社会人としてのスタートを切ることになる。

今の若手は、子どもの数が少ない中で、大人に囲まれて育っている。困難が生じればすぐに援助の手が差し伸べられるため、失敗の経験が少なく、打たれ弱い。「ダメだ」「〜ない」といった否定表現は、それだけでパワハラ的に受け取られるおそれがある。

インターネット上の切り取られた情報の中で生活しているから、行間や物事の裏を読む習慣がない。非常にデジタル的に、言葉をそのまま受け取るのだ。

少し前なら、若手の指導において「怒る」は自分の感情に任せているのでNGだが、相手のためを思う「叱る」ならOKといった認識が通用した。だが今では、どちらもパワハラとして受け取られるかもしれない。上司のエゴであろうが、若手のためを思っていようが、内面は若手にはわからないので、同じことなのだ。

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