パワハラを避ける上手な叱り方&注意の仕方。「自分はこうやってきた」との思いを押し付けない
ではどう対応するべきか。まず、ネガティブな表現を使わず、ポジティブ表現に置き換えて伝える。仕事の苦労の部分を説明する必要はない。「仕事は楽しいものだ」「思い切りやれば楽しさに到達できる」といった具合だ。依頼した仕事が基準ラインに届いていなくても、「できてない」と言ってはいけない。「こうしたらもっとよくなる」「これが正解だ」と、肯定的な表現で伝える。

一から十まで丁寧に
「仕事は見て覚えるもの」「自分で苦労して身に付けるもの」といった認識も捨てることだ。若手はわからないことがあればすぐにネットやAI(人工知能)で検索し、正解に到達する習慣がついている。上司が教育の一環として自分で考えさせようとしても、若手は「教えてくれない」という事実のみを受け取り、見捨てられた気持ちになってしまう。そのため、仕事のやり方は一から十まで丁寧に教え、間違いがあれば、正解をパッと与えてやるほうがいい。
以上のことから、上司が若手に接するうえでは、丁寧な言葉でわかりやすく説明できるよう、訓練する必要があるだろう。

それから、少しでも褒めるべき点があれば「よくできたね」と褒め、成功体験を積み上げさせる。そうすれば安心して、自ら徐々に成長していく。一点注意したいのが、人前で褒めずこっそり褒めること。人に注目されるのを苦手とする傾向があるからだ。
そもそも、今の若手はやる気を外に見せるのが苦手だ。何を考えているかわからず、歯がゆい思いをするかもしれない。しかし、外から見えないだけで、「やる気がない」わけではないと理解しよう。
「今の若者はこういうもの」と、いかにキッパリ割り切ることができるか。これにより、若手対応の成否が決まる。人間は過去の積み重ねで今があるため、どうしても過去にアイデンティティーを求めてしまう。しかし、過去の自分と今の若者とは、まったく別の時代や環境で育ち、異なる価値観や考え方を持っている。同じように考えてはいけない。
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