「医師になったら多浪したことは関係ありません。でも、ここからの人生はもう遅れは許されないと思うようになりました。医師になって7~8年目に専門医試験というのがあるのですが、僕は糖尿病や甲状腺の分野を最短で取ることができました」

医師としての現在
現在は府中すみよしクリニックの理事長として患者を診療しており、YouTubeチャンネル「Dr.林の健康ナビ」の投稿もしている林さん。40代中盤になって、世間的に見たら「成功者」と見られてもよさそうですが、彼自身はまだ人生を送る中で多浪をしたことを正当化できずにいるようです。「努力の過大評価や過信が多浪の原因だった」と語る林さんは、こう続けます。
「僕はまだ、自分の中で、多浪をしたという自分の行動や、浪人で失った時間を医師になっても消化しきれていない部分があります。自分含め、浪人している人は自分がかけた時間を過大評価する傾向がありますが、同じ時間を過ごしているとき、同じようにみんな努力しているわけです。周囲の受験生はみんな自分より能力が低くて時間をかけているんじゃなくて、みんな同じくらいの能力か、むしろ高い状態で時間もかけているのに、僕は『自分はちょっと時間をかけたら成績が上がっていくんだ』という勘違いが根底にあった気がします。
また、『時間をかけたんだからこれくらいいけるんじゃないか』という見込みの甘さは、社会人だと致命的です。僕は今でも試験に落ちて医師になれない夢や、医学部を卒業できない夢、医師国家試験に受からない夢を見るので、そんなにいっぱい浪人しないで、自分に見合う大学に行って、ちゃんと学生生活を送った方がいいんじゃないかなとも思います。自分は今、幸運にも患者さんに信頼いただいてるおかげで何とかできているかもしれませんが、浪人の経験が人生の悔いとして残って、自分の中で引っ掛かりになっているのは間違いありません。皆さんには僕のようになってほしくないなとは思いますね」
浪人を経て成功を掴み取ったものの、浪人で失われた時間を自分の中で消化している最中の林さん。彼は今後も、自分の選択が正しかったのか悩みつつも、その自分が選んだ道を正解にするために頑張っていかれるのだろうと思いました。

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