年をとることは避けられないが、認知症は避けられる。4000人以上の認知症患者を診てきた精神科医が提唱する「8つの予防法」

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■愚かなること それは我慢

数字というものは目標値に置き換わります。「卵は1日1個にしよう」「ストレッチは必ず10分間続けよう」「ウォーキングは1万歩歩こう」……。そんなふうに、数字をクリアすることは目標になることもあります。

ただし、数字をクリアするために「こうあるべき」「かくあるべき」的な考えが強くなると、生活そのものが息苦しくなり、楽しさや喜びとは縁遠い暮らしぶりになってしまいます。そのような生活は、認知症へのリスクファクターを増やすことにほかなりません。

数字をクリアしなくてはならないという思い込みは、生活に我慢を強いるのです。我慢ほど、脳や体に悪いことはありません。

数字以外にも、暮らしの中にはたくさんの我慢があります。

生きる楽しみを奪う我慢

・炭水化物は体によくないから控える
・砂糖は脂肪を増やすから、おやつは一日おきにする
・血圧が上がるから薄味
・天ぷらの衣は残す
・嫌々の運動
・Hな動画の自主規制
80歳で体はこう変わるからやっておきたいこと
『80歳で体はこう変わるからやっておきたいこと』(興陽館)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

こんな具合です。

我慢は、生きる楽しみを奪います。次第にストレスがたまり、脳の機能は停滞、免疫力が下がることは目に見えているのです。自分を律し、欲望をコントロールすることばかり気にしていては、健康で明るい生活は送れません。

やりたいこと、好きなことこそが、脳に刺激を与えてくれます。日本人特有の勤勉さ、几帳面さという気質が、困難や我慢を美徳と考えてしまっているのはよくわかります。でも、これからは解放されてもいいのではないでしょうか。快適さや心地よさを求めてもいいのです。

好きなこと、楽しいことを実践することは、脳が活性化する生活です。我慢して、数字に振り回されるような生活にはオサラバしましょうよ。あなたには、もっと快適に生きる権利があるのですから。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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