年をとることは避けられないが、認知症は避けられる。4000人以上の認知症患者を診てきた精神科医が提唱する「8つの予防法」
さて、私は長年、大学受験合格のノウハウを研究して、ベストセラーとなった受験対策本を多数執筆しているのですが、ご存じでしょうか。医大や名門大学受験のための通信教育も主宰しています。つまり、覚えることの専門家とも言えるわけです。
大きな効果がある「反復」や「音読」
この経験からはっきり言えるのは、反復や音読が、知識を記憶することに大きな効果があるということです。そこで、こんなトレーニングを提案します。
学生時代、一所懸命に覚えた年号や英単語を新たに暗記するのです。たとえば遣唐使の廃止は西暦何年? そうです。894年です。「白紙に戻そう遣唐使」という語呂合わせを思い出した人も多いのではありませんか?
では、平清盛が太政大臣に就任したのは何年? 「いい胸毛の清盛大臣」だから1167年ですね。また、英単語もあれだけ勉強したのですから、意外とたくさん思い出せるかもしれません。
こうして、思い出し、覚えてを繰り返すことで、記銘力は鍛えることができます。面白いですよ。
■睡眠をしっかりとる
質のよい睡眠をしっかりとること、睡眠不足にならないことを心がけてください。もしかしたら、認知症予防に一番大切なことではないかと、私は思っています。
十分な睡眠は、脳の衰えを防ぎ、認知症と老人性うつの発症、進行を抑える最良の方法です。
認知症と睡眠の関係を簡単に説明しましょう。
私たちが眠っている間も、脳は活動しています。睡眠中、脳内を脳脊髄液が循環し、溜まった老廃物を脳外に排出しているのです。この作業は眠っている間しかおこなうことはできないとされています。
睡眠が不足すると、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβというタンパク質が脳内に蓄積されることもわかっています。睡眠不足は認知症と大きく関連しているのです。
睡眠時間と認知症の関連の研究は、さかんにおこなわれています。アメリカの研究でもイギリスの研究でも、睡眠不足の人は、そうでない人よりも認知症と診断される割合が高いことが明らかにされています。
認知症予防のためには、相応の睡眠時間が必要です。時間より質が大事だとする説もありますが、最新の研究では、ある程度の睡眠時間を確保しないと、脳の休息がとれないということが判明しつつあります。
個人差もありますが、1日6時間以上の睡眠をとるように心がけるとよろしいかと思います。
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