エコノミーより安い「中華系激安ビジネスクラス」で欧州に飛んだ顛末。目的地まで60時間、2泊トランジット。でもホテルは無料の不思議

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食後のデザート
思ったより豪華だった食後のデザート(写真:筆者撮影)

乗客が4人しかいないからか、CAが「飲み物どうですか」などと聞く前に常に名前を呼んでくれた。最初の半周でビジネスクラスはそこそこ経験しているが、これだけ名前を連呼されたのは初めてだ。

突然日本語で話しかけられる

おおむね快適だった最初のフライトだったが、鄭州に降り立った直後に事件は起きた。

南方航空の貴賓室を名乗るアカウントから「明日は鄭州でお待ちしております。よい旅を」とメッセージが入ったのだ。

「明日? いや、もう着いてますけど」

と折り返すとそこからやり取りが始まり、メッセージを数ターンした後に「空港を出て〇番ゲートの前で待っていてください。車を迎えに行かせます」と連絡を受けた。

宿泊予定のホテルの名前やチェックイン方法については数日前に案内が来ていたので、自力で行くつもりだったが、ありがたく申し出を受けることにする。

ほどなく一台のバンが目の前に止まり、降りてきた20代と思われる男性がいきなり「こんにちは」「お腹どう?」と日本語で話しかけてきた。数年前に日本に留学していて、東京の池袋に住んでいたという。

日本語人材は突然現れる、というのは世界一周を通じて何度も何度も体験したが、ここでも出会ってしまった。

宿泊するホテルは空港から5分も走れば着くはずだが、車はどうも違うところに向かっている。男性は走りながら電話をかけ、中国語で「今から顧客を連れて行くから。1人。そう、1人部屋。高級な客だから、必ずいい部屋を準備してね。よい部屋を頼むよ」と話している。

「ホテル変わったの?」と聞くと、「あなたはVIPだから」と返ってきた。

ここで何となく読めた。筆者は出発2日前に南方航空のコールセンターにホテルの手配を依頼したのだが、どこかの段階で到着の日にちを間違えられ、さらにエコノミークラスの客として登録されていたようだ。

筆者が到着してから航空会社側もミスに気付き、今リカバリーの真っ最中なのだろう。

普通の日本人だったら怒るかもしれないが(というより、何が起きているかわからないだろう)、かつて中国に住んでいた筆者は「ああ、これよこれ! これが中国!」とワクワクを抑えきれなかった。

そして彼らがリカバリーしようと過剰なおもてなしに走ったおかげで、筆者の予定は一気に狂うことになる(後編へ続きます)。

【画像】中国南方航空、ビジネスクラスの座席や写真など(9枚)
浦上 早苗 経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員(コミュニケーションマネジメント)

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

福岡市出身、早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で教員。現在は経済分野を中心に執筆編集、海外企業の日本進出における情報発信の助言を手掛ける。近著に『崖っぷち母子 仕事と子育てに詰んで中国へ飛ぶ』(大和書房)『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
X: https://twitter.com/sanadi37
公式サイト: https://uragami-sanae.jimdosite.com/

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