「罰ゲーム」化した管理職が知っておきたい”賢く立ち回る知恵”――意外と知らないリーダーとマネジャーの違い

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そう尋ねると、フルさんは上目遣いで僕を見て口元を緩めた。

「ひとたびリーダーがハンバーガーを沢山つくろう、と決めたら、マネジャーの仕事は、あてがわれたメンバーを管理してそれをできるだけ沢山つくることです」

「ハンバーガー?」

「ここにまったく同じキッチンセットが3つあるとしましょう。それぞれのキッチンに、同じ経験値のアルバイトが3人ずつ配置され、同じ分量のハンバーガーの材料が配られているとします。そして、A・B・Cの3人のマネジャーが、それぞれ3つのキッチンに割り当てられます」

フルさんはそう言うと、ホワイトボードに大きくA・B・Cと書き込んだ。

「各チーム合計8時間作業をし、Aのチームはハンバーガーを1000個、Bは500個、Cは300個をそれぞれつくり出したとします。この時、マネジャーとして最も優れているのは誰でしょうか」

「A、ですかね」

「そうですよね。では、Aの一体何が、ほかのマネジャーより優れていたのだと思いますか?」

「同じ設備、材料、人員で、より多くのハンバーガーをつくり出したところ、ですかね」

マネジャーの仕事の本質

「Aにはなぜ、そんなことができたのでしょうか」

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「なぜか。チームのメンバーの力を、一番上手に引き出したから?」

「その通りです」

フルさんはそう言うと、僕の目をじっと見て、改めてうなずいた。

「リーダーの定めたゴールにいち早くたどりつくために、あてがわれたメンバーの力を最大限に引き出すこと。それこそがマネジャーの仕事の本質です。ピープルマネジメントとは、わかりやすく言えば、同じ材料、設備、人員で、なるべく多くのハンバーガーをつくるゲーム、なのです」

フルさんは、そう言い終えると、A・B・Cの下に1000、500、300という数字をそれぞれ書き加え、Aの上に王冠の絵を描いた。

その間、僕は慌てて今のポイントをメモにとった。

◎マネジャーの仕事とは、リーダーの定めたゴールにいち早くたどりつくために、あてがわれたメンバーの力を最大限に引き出すこと
◎ピープルマネジメントとは、同じ材料、設備、人員でなるべく多くのハンバーガーをつくるゲーム
井上 大輔 OFFICE pianonoki代表

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いのうえ だいすけ / Daisuke Inoue

OFFICE pianonoki代表。ニュージーランド航空、ユニリーバ、アウディでマネージャーを歴任。ヤフー株式会社 マーケティングソリューションズ統括本部 マーケティング本部長、ソフトバンク株式会社 コンシューマ事業統括 コミュニケーション本部 メディア統括部長などを経て現職。個人事業主としてマーケティングやマネジメントをテーマとした執筆・講演・企業研修などを行うほか、上場企業の執行役員としてマネジメントの実務にも現役で携わる。WASEDA NEO「早稲田マーケティングカレッジ」講師。

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