「何でもSlackで?」、チャット依存の部下と"リアル重視"の上司がすれ違う理由。どうすればリアルコミュニケーションの重要性は伝わるのか

「今度の商談、Slackで調整しましょうか?」
28歳の部下からの提案に、40代の上司は思わず表情を曇らせた。
この若手社員の前職は、業務のほとんどがSlackで完結するIT企業。プロジェクトの進捗はチャット、会議の調整もチャット、ちょっとした質問もチャットだったという。
Slackとは、ビジネス向けのチャットツールのひとつで、チーム内の情報共有ややり取りをオンラインで効率的に行えるサービス。こうしたツールには他にも、Microsoft TeamsやChatwork、LINE WORKSなどがあり、組織によって使われているものはさまざまだ。
これまでの経験上、Slackを使えば「効率的で無駄がない」というのが部下の持論だが、今の勤務先は創業80年を迎える老舗の繊維メーカー。取引先の年配の部課長たちとは「焼き鳥を頬張りながら関係を築くのが当たり前」のような、対面が基本の文化がある。
にもかかわらず、彼は「"飲みニケーション"で関係構築ですか? あり得ません」と拒絶する。「どうすればリアルコミュニケーションの重要性を教えられるのか……?」、上司の悩みは深まる一方だ。
こうした価値観の違いは、デジタルツールが広く浸透した今、どの職場でも起こり得る話だ。そこで今回は、現代社会にありがちなコミュニケーション・ギャップをどう埋めるかを考える。
"Slack依存"の働き方が広がる背景
まず、なぜSlackといったビジネスチャットツールに依存する人がいるのかを理解しよう。その理由は主に3つ、あるのではないか。
(1)効率性への固執
(2)非同期コミュニケーションの快適さ
(3)対面コミュニケーションへの不安
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