「何でもSlackで?」、チャット依存の部下と"リアル重視"の上司がすれ違う理由。どうすればリアルコミュニケーションの重要性は伝わるのか
(3)段階的に移行させる
相手と関係を構築するまでのフェーズ、重要な意思決定をすべきフェーズなどではリアルコミュニケーションを選択できるよう導く。
「最初の2~3回の打ち合わせは必ずリアルで」「プロジェクトの締結は直接会って」など、明確なルールを設けても良いだろう。「半年に1回は、リアルで懇親会を開く」というルールを設定している会社もある(ただし強制参加とはしない)。
新旧バランスの取れた組織へ
Slackをはじめとするデジタルツールはもはや不可欠な存在だ。しかし、それだけに依存していては、人間味のある関係構築は難しい。とりわけ日本の老舗企業では、長年培ってきた「顔の見える関係」が競争優位性の源泉となっている場合が多い。
一方、効率化を求める若手社員の声も無視できない。実際に「リアルコミュニケーション」には無駄が多いからだ。非言語情報が不要のときは、メールやビジネスチャットのほうがメリットが大きい。大切なのは、適材適所でコミュニケーション手段を使い分けることだ。
「定型的な業務連絡や資料の共有はSlack、重要な商談や新規開拓はリアルで」。そんなハイブリッドなアプローチが、現代の組織には求められている。
上司として大切なのは、「Slackのようなデジタルツールを使うのが苦手だから、リアルコミュニケーションを好んで選んでいる」と悟られないことだ。もし若者に「単に苦手だからリアルを重視しろと言っているに過ぎない」と思い込まれたら、リアルの重要性を説いても信用されないだろう。
Slack等のビジネスチャットは非常に便利だ。上司のみならず、ベテランの人たちも、このようなツールに慣れることも世代間コミュニケーションのギャップを埋めるうえで重要だと理解しよう。
部下とのコミュニケーションに悩む上司は多い。しかし、頭ごなしに否定するのではなく、リアルコミュニケーションの価値を体感してもらう機会を作ることが重要だ。小さな成功体験を積み重ね、デジタルとリアルを使い分けるスキルを身につけさせよう。
結局のところ、コミュニケーションの本質は「相手との信頼関係を築くこと」にある。Slackもリアルも、その手段の一つに過ぎない。どちらも活かせる組織こそが、変化の激しい時代を生き抜けるはずだ。
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