
日本は学力重視の教育システムからなぜ脱却できないのだろうか(中室氏<左>の写真は本人提供、窪田氏の写真は撮影:梅谷 秀司)
『「学力」の経済学』『科学的根拠(エビデンス)で子育て』の著者であり、教育経済学の視点からデータやエビデンスに基づいた子育てを提唱する中室牧子氏。
『近視は病気です』の著者で、世界的に問題になっている子供の近視対策の啓蒙活動を行う眼科医の窪田良氏。
教育と医療で分野の違いはあれど、実は2人の主張にはいくつもの共通点がある。対談企画の第1回は、幼少期の先取り学習は果たして有効なのか、大人になってからのリターンが大きい子供の教育や近視予防について、話し合う。
学力テスト偏重が、受験競争を生み出している
窪田:中室先生の最新刊『科学的根拠(エビデンス)で子育て』では、「子供のうちに非認知能力(注)を高めることが学力向上にもつながる」と書かれていますが、日本ではまだまだ受験に向けた詰め込み型の教育が中心ですよね。非認知能力が大事だと分かっていても、いざ教育となると学力を重視しがちです。中室先生は今の教育システムをどう見ていますか?
(注)非認知能力:IQテストや学力テストで数値化される「認知能力」に対して、忍耐性や責任感、協調性、リーダーシップ、コミュニケーション力などの能力のこと
中室:学力テスト偏重の評価になっていることが気になっています。そもそも学力テストは、「認知能力」を測るために開発されたものですが、「認知能力」を一言で言うと「考える力」なんです。
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