Z世代女子が夢中になる「絵の具コスメ」 コスメは“混ぜて自分に似合うを作る”時代に!

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これまでのメイクは、「ブランドが提案する色を受け入れる」という一方向的なスタイルが主流であった。しかし、パーソナルカラーや顔タイプ診断の普及により「自分に似合う色を知る」ことが当たり前となった現代において、今、求められるようになっているのは「自分で自分に合った色を作り出せる」ことである。

こうした状況で、さまざまな企業が絵の具コスメ」を発売するようになってきた。Z世代を中心とした消費者側も、自分の肌や雰囲気に合った色を再現し、自分で納得のいくメイクを楽しみたいという新しいニーズが生まれつつある。

絵の具コスメが話題となっている要因をさらに挙げるとすれば、色を混ぜるという行為そのものがウケている可能性がある。近年、Z世代の間では、「平成女児ケーキ」や「平成レトロ」といった、幼少期に親しんだ文化や商品が再び注目を集めている。絵の具コスメは、そうした懐かしさを訴求する目的で作られたものではないが、小学生時代の図工や絵の具遊びといった記憶が重なり、自然と楽しい感覚が呼び起こされる人もいるのではないだろうか。

「自分にぴったり合った色味・質感を、自分の手で創作する」という本質的な魅力に加えて、こうした記憶や感情にふれるような小さな“遊び心”もまた、絵の具コスメの広がりを後押しする背景にある考えられる。

購買決定をうながす設計

この数年で、さまざまな領域でITテクノロジーは大幅に進化しました。しかし“完全に”「パーソナライズ」や「カスタマイズ」された商品やサービスを見つけ出すことは多くの領域において困難です。それどころか、かえってあふれる情報についていけず、昔以上に購買決定が困難になってしまっている人がZ世代の中にはたくさんいます。

そこで、「絵の具コスメ」の例のように、途中まではパーソナルカラー診断などにある程度任せてパーソナライズしてもらい、最終段階は自分で納得のいくものを選択・創作できる、という商品・サービス設計は、他の業界でも参考になる事例かもしれません。

原田 曜平 芝浦工業大学デザイン工学部UXコース教授

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』などがある。

原田曜平研究室 デザイン工学部UXコース インサイトデザイン研究室(https://yoheiharada-lab.com)

 

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