正直なところ、私もそうした懸念を持っていました。
あまりにもドライの度合いが過ぎると、「会社をクビになることだって、あるに違いない」と考えていましたが、実際には、その正反対の結果が出ていることで、心理カウンセラーとして逆にビックリしています。
ある男性クライアントの体験談を紹介します。
人間関係に悩んでストレス過多の状態にあったビジネスパーソンが、ドライな人間になる……と決意したケースです。
この男性は、職場の人たちと明確に距離を置くことを意識して、上司や同僚に対する忖度もスッパリとやめました。彼の急激な変化に、周囲の人たちも戸惑いの表情を見せていたといいます。
私が懸念したのは、その変化のスピードがあまりにも極端だったこともあります。周囲の人たちに、「ドライな人間になる」と宣言する必要はありませんが、段階を踏んで、徐々に変わっていかなければ、職場で孤立する可能性があります。
最終的には、会社をクビになることだって、ありえるのではないか……と考えて、ヒヤヒヤしながら彼の動向を見守っていたのです。
「見捨てられる不安」がなくなった
私の心配が杞憂に終わったとハッキリとわかったのは、それから数年が経ってからのことです。
その間、彼の変化を観察してきましたが、人間関係のストレスが減ったことで、ネガティブな感情が薄まり、前向きな考え方ができるようになっていました。
自分に自信が持てるようになり、仕事に前向きに取り組める環境を手に入れたことで、責任のある仕事を任されるようになりました。会社をクビになるどころか、逆に昇進して、活躍の場を飛躍的に広げることになったのです。
その理由は、人間関係のストレスが減って、ポジティブ思考ができるようになったことだけではありません。職場の人たちが、彼をドライな人間と認識したことで、彼の「邪魔」をする人がいなくなったことが一番の要因だと考えています。
上司や同僚たちが、良くも悪くも、彼に「チョッカイ」を出さなくなって、人間関係に悩む必要がなくなり、自分のやるべきことに専念できることが、大きく影響しているように思います。
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