米国版さとり世代「ミレニアルズ」の破壊力 ベビーブーマーをしのぐ超巨大世代が台頭!

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何よりオバマ大統領を当選させたのはこの世代と言われています。8月のゾグビー社の調査では、18~35歳の若者のオバマ大統領への支持率は66%で、最近のさまざまな支持率調査の50%前後という数字を大きく上回っています。民主党を支持する理由は、不透明な未来に不安を抱えているためと考えられ、民主党のプラットフォームである大きな政府、つまり社会保障や政策により、老後の保障や格差の是正を求めているからです。

対する共和党はこれまで「チャンスの国、アメリカンンドリーム」を標榜し、減税と規制緩和で巨大な富を生み出してきました。その結果広がりすぎた格差と大企業や金持ち優遇の政治を、行き過ぎた資本主義として多くのミレニアルズは痛烈に批判しています。

ミレニアルズは今後、激増する移民と共に米国の政治地図を大きく書き変える可能性があります。来年の大統領選の動向、さらにアメリカンドリーム自体がどう変わろうとしているのかも今後探っていきたいと思います。

ネガティブなレッテルも

ところでミレニアルズにはこんなネガティブなレッテルも貼られています。

「ナルシスト、過保護でスポイルされた世代」……そう語られる最大の理由は少子化です。米国の出生率はベビーブーム期1960年の3.6人から1980年には1.8人と20年間で半減。その結果親の関心が1人に集中し、ヘリコプター・ペアレンツと呼ばれる過保護な親も出現、それがスポイルされたミレニアルズが育った理由と分析されています。

またソーシャルメディアが発達し、セルフィーなどでつねに自分を良く見せアピールするのが当たり前になったことが、ナルシストと呼ばれる由縁とも考えられています。ミレニアルズの親子関係やソーシャルメディアとの関係も今後のテーマとして見て行きます。

そして、こうした世代が消費の主役になる時代、実際に何がどう変わっているのか。好むブランドや車・家などの所有感覚、恋愛・結婚、さらに働くことへの意識などの前世代との違いを浮き彫りにしていきます。そして、ミレニアルズが作り出す新たなライフスタイルのトレンド、今日本を含め世界中で脚光を浴びている「ブルックリン」で花開く若者文化などにも言及していきたいと思います。

社会、文化、政治的にも米国の今後を牽引するパワーであり激動の現代の主役ミレニアルズを一緒に発見していきましょう。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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シェリー めぐみ ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター

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横浜育ち。早稲田大学政経学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。

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