報酬は言われるほど高額ではない…でも「win-win」? 《ABCマートの社外取締役》に榎本加奈子と畑野ひろ子を検討の“メリット”と“リスク”
そこで白羽の矢が立ったのが、タレントやアナウンサー、アスリートなどの有名人である。こうした人たちであれば、宣伝効果も高く、「女性を取締役として起用した」と広くアピールすることができる。加えて、就任後も「広告塔」としての役割を担ってくれることが期待できる。要するに「数合わせ」以上の効果が期待できるのだ。
まとめると、下記の2点が背景にあることが理解できる。
2. 有名人の起用によって、「広告塔」としての効果を狙う
2024年には、元サッカー日本代表の中田英寿さんが、PR会社・サニーサイドアップグループの執行役員エグゼクティブオフィサーに就任して話題になった。
しかし、この例に関しては、同社は中田さんの現役時代にPRを請け負っており、お互いの成功を支え合っているし、中田さんが実業家としても活躍していることを考えると、上記の状況とは異なっていると考えられる。
起用される側にとっての「メリット」
2024年にデロイト トーマツが行った調査(「役員報酬サーベイ(2024年度版)」)によると、売上高1兆円以上の企業における社外取締役の報酬総額水準は、中央値で1480万円とされている。ただ、この規模の企業は限られているので、上場企業といえども、実際の報酬はもっと低いのが一般的だろう。
なお、現時点の株式会社エービーシー・マートの取締役8名は全員男性。内、社外取締役は3名で、役員報酬の総額は1200万円である。榎本さんと畑野さんの就任により、女性比率は一気に25%に高まる。女性取締役があと1名就任すれば、2030年までの目標である女性比率30%以上が達成できる。
1人当たりの平均報酬は400万円となり、企業側の出費は、一部で言われるほどには大きくはないだろう。最も、新任のお2人が左記の金額で引き受けているとは限らないが……。
では、起用される側にはメリットはあるのだろうか?
フリーランスや芸能事務所に所属している人にとっては、安定収益を得られることは安心材料になる。それ以上に、「有名企業の社外取締役に就任した」という事実は、格好の箔づけになる。名誉でもあるし、本業へのメリットも大きいだろう。
しかも、社外取締役であれば、業務の負荷は大きくないし、負わなければならない責任も限定的だ。
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