報酬は言われるほど高額ではない…でも「win-win」? 《ABCマートの社外取締役》に榎本加奈子と畑野ひろ子を検討の“メリット”と“リスク”

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有名人の社外取締役起用は、起用する企業にとっても、起用される個人にとってもメリットのある、「ウィンウィン(win-win)」のやり方だ――ということになるだろう。

ただし、このような流れには懸念すべき点もある。

畑野ひろ子
現在はモデルとしても活躍する畑野ひろ子さん。2008年に元サッカー日本代表の鈴木啓太さん(写真右)と再婚した(画像:本人の公式Instagramより)

社外取締役になることの「リスク」

社外取締役に起用されるような著名人は、本業でも成功していることが多い。SNS上では「勝ち組、より肥え太る仕組み」という批判も少なからず見られる。

榎本さんに関しては、配偶者が佐々木主浩氏であることもあり、「これ以上稼ぐ必要はないだろう」という声もある。

そして、社外取締役には、思わぬ落とし穴もあることは忘れてはならない。

元タレント・中居正広さんの性加害に端を発するフジテレビを巡る一連の問題で、フジ・メディア・ホールディングスの株主の男性が、同社の現旧経営陣に233億円の賠償を求める株主代表訴訟を起こしている。訴訟の対象には、社外取締役も含まれている。

2024年に小林製薬が起こした、紅麹サプリの健康被害においても、アクティビスト(物言う株主)で香港系投資ファンドのオアシス・マネジメントが、4人の社外取締役に対して「社外取締役が適切な監督を怠った」と批判、社外取締役を含む7名の旧経営陣に約135億円の損害賠償を求める株主代表訴訟を提起した。

必ずしも不祥事が起きるとは限らないし、社外取締役に訴訟が提起され、損害賠償が請求されるとも限らない。しかしながら、社外取締役といえども経営者の一端としての責任とリスクを負っていることは確かだ。事前に、起用する側・される側の双方がこの点を自覚しておくことが求められる。

特に、社外取締役は「社内の利害関係に囚われず、第三者視点から意見を述べる」「専門的な知識や経験を活かして経営陣に助言する」という役割を担っている。

「女性の取締役を増やす」、「取締役を広告塔として企業をアピールする」ということ自体は悪くはないが、現在重要になっている社外取締役の役割が疎かになってしまうのは本末転倒だ。

榎本加奈子さんや畑野ひろ子さんについても、社外出身の取締役として、しっかりと経営陣に意見を述べて、ABCマートの今後の成長に貢献してもらうことを願いたい。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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