報酬は言われるほど高額ではない…でも「win-win」? 《ABCマートの社外取締役》に榎本加奈子と畑野ひろ子を検討の“メリット”と“リスク”
女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんは2022年に建設・不動産業を展開する「スターツコーポレーション」、2023年には自動車メーカー「スズキ」の社外取締役に就任している。
アナウンサーに関しては、元フジテレビアナウンサーで弁護士の菊間千乃さんは「コーセー」など5社の、元TBSアナウンサーの竹内香苗さんは「SBIホールディングス」「ディップ株式会社」の社外取締役に就任。
そして2023年には、元フジテレビアナウンサーの内田恭子さんが「Smile Holdings(スマイルホールディングス)」、元フジテレビアナウンサー中野美奈子さんが四国電力グループの「四電工」の社外取締役に就任している。
共通している点は、全員が女性であることだ。しかも、2023年以降にこのトレンドが加速している。
この頃、何があったか。政府が「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023」を発表していた。
そこでは、東証プライム市場上場企業を対象に「2025年を目途に、女性役員を1名以上選任するよう努める」「2030年までに、女性役員の比率を30%以上とすることを目指す」ということが表明されている。
女性アナウンサーを起用する事例は以前からあったが、有名人を社外取締役に起用する流れは、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023」の発表が後押ししていることは明らかだろう。

なぜ有名人が社外取締役に起用されるのか?
年功序列は崩壊しつつあるとはいえ、東証プライム市場上場の企業で、取締役に就任する年齢は50代以降が多い。となると、1990年代以前に就職した人になるのだが、この時代はまだまだ女性が就職に不利な時代だった。
筆者は1990年代後半に新卒で就職したのだが、同級生の女性は、企業から送られてくる資料の数が明らかに少なかった。しかも、この時代は結婚や出産で退職する女性も少なくなかった。
女性を取締役として起用したくとも、なかなか社内で人材を見つけるのは難しいというのが実態だろう。各社がそうした状況であれば、他社からヘッドハンティングすることも容易ではない。
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