「何のためにこんなに猛烈に働いているのか?」大手メーカーの課長になって2年。男性が「会社から逃げる」ことを選んだワケ

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その医院は、初診の場合のみ、診察時間終了後に30分程度時間をかけて、何に悩んでいて、今の症状がどんなものかを医師に理解してもらって、診断するようなシステムになっていた。

そこで下された診断は、次のようなものだった。

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「今のような過酷な職場環境なら、誰でもあなたのようになる。だからあなたはうつ病ではないと思う。でも、症状を改善するために少し薬を飲んでみますか」というものだった。とりあえず安心はしたのだか、処方された薬は、抗うつ剤。いわゆるうつ病のときに処方される薬だった。

うつ病というものは、何か数値で判断できるものではなく、あくまで医師の主観的な評価に基づいている場合が多く、仕方ないことなのだろう。処方された薬も試しに飲んでみたが、体に合わずにすぐに止めた。

もともと薬嫌いでサプリメントなども含め、日常的に飲んでいるものはないし、病気になってもなるべく自分の治癒力で治すようにしている。

抗うつ剤を飲むと、薬が効いている間は、それなりに調子がいいような気がするが、薬が切れると一気に脱力感に襲われ、無気力な状態に陥るようになり、飲んで1週間ほどで止めてしまった。

このままでは自分が壊れる

社内の相談室や心療内科の門を叩いたものの、事態は一向に好転しなかった。この頃から、このままこの職場で働き続けることが、将来の自分にどんな事態を招くのだろうと考えるようになった。

今のような危機的なメンタルヘルスの状態が長い期間続くことは、それこそ本格的な心の病を患うことにつながり、このままでは自分が壊れてしまうという、身の危険を感じるようになっていた。

とにかく、一度今の仕事から離れなければ、この危機的な状況を打開することはできないと考えた。さて、今の仕事から逃げるにはどうしたらいいのか、次の焦点はそこに移っていった。

畔柳 茂樹 農業起業家 観光農園「ブルーベリーファームおかざき」代表

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くろやなぎ しげき / Shigeki Kuroyanagi

愛知県岡崎市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。自動車部品最大手のデンソーに入社。40歳で事業企画課長に就任するもハードワークの日々に心身ともに疲弊して農業への転身を決意。2007年に45歳で年収1千万円の安定した生活を捨て独立し、観光農園「ブルーベリーファームおかざき」を開設。デンソー時代に培ったスキルを生かし、観光農園、無人栽培、ネット集客の仕組みを構築。ひと夏1万人が訪れる観光スポットとなり、年間60日余りの営業で会社員時代を大きく超える年収を実現。近年は、宮城・気仙沼での観光農園プロデュースによる被災地復興に取り組む。自身の体験に基づいた「成幸するブルーベリー農園講座」は参加者が延べ2000人を超え、この農園をモデルにしたブルーベリー観光農園が全国約100か所開園。著書に『最強の農起業!』(かんき出版)

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