「何のためにこんなに猛烈に働いているのか?」大手メーカーの課長になって2年。男性が「会社から逃げる」ことを選んだワケ

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課長になって3年目、多少なりとも精神的にゆとりが生まれるようになった。普通なら喜ばしいことだが、事態はむしろ深刻になった。

今まで忙しすぎてゆっくり考える暇がなく気にならなかったことが、気持ちに余裕ができると同時に気にかかるようになり、考え込む日々が続くようになった。いつも頭に浮かんでくるのは、

自分は会社にとってかけがえのない存在か?

自分の会社生活に未来はあるのか?

自分は一体何のためにこんなに猛烈に働いているのか?

自分はこんなに仕事ばかりするために生まれてきたのか?

すぐに答えの出ないような問いが頭の中で堂々めぐりしていた。

そしてもう少し現実的な問題として、次のようなことも考え、感じていた。それは、この先出世してもせいぜいもう1ランク上の昇格、昇給するくらい。そこまでは可能でも、現在の自分の序列を考えると、さらに上に登っていける可能性は極めて低い。

また周りを見回しても「この人のようになりたい」という理想的な上司は皆無だった。この先の会社生活は、まるで真っ暗闇の中を手探りでさ迷い歩いていくような感覚にとらわれた。

いつの間にか、眠れなくなっていた

そんな自分の未来のことを考えては不安に押しつぶされそうになることが頻繁に起きるようになった。答えのない問いを悶々と考える日々が続いて、いつの間にか、眠れなくなっていた。

正確にいうと寝つきは悪くなかったが、早朝4時くらいにパチッと目が覚めて、もういくら眠ろうとしても眠れない悪い生活習慣が常態化してしまった。

早朝に目が覚めて布団の中で考えることは、その日にやらなければならない仕事のことはもちろん、人間関係の悩みや、自分のこれからの行く末など暗いことばかり。これが私から活力を確実に奪っていった。

眠れないまま6時の起床時間を迎えることになるが、体が重く、出社して自分のデスクに座る頃には、もうくたくただった。

これでその日の生産性が上がるわけもなく、暗くどんよりした1日が始まるのだった。

うつ病を身近に感じる

事態はますます深刻になった。自分の体に起きた変調は、眠れないことだけにとどまらなかった。

自分の不甲斐なさや将来の見通しが立たないことへのやり切れなさを強く感じるようになり、気持ちがどんどん自分の内側に向き始め、「なんてダメな自分なんだ!」と自分で自分を責めるようなった。

自宅から最寄りの駅まで車で通っていたが、帰宅途中の車中で、自分の中にたまっていたやりきれない想いが一気にあふれ出してきた。

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