誰もが一度は経験しているであろう、処方された薬の飲み忘れ。加齢による認知症や身体障害によるものだけでなく、若い世代でも多忙な毎日に追われてつい薬を飲まなくなってしまうケースがよく聞かれます。しかし疾患治療の早道は処方薬を正しく飲み切ることです。今回は薬を必要な期間、忘れずに飲み続けるコツをお伝えできればと思います。
服薬アドヒアランスを「高める」
医療現場では、処方された薬を適切に使用していくことを服薬コンプライアンスまたは服薬アドヒアランスと呼びます。両者は薬を飲むという意味ではほぼ同じですが、服薬コンプライアンスは医師の指示通りに処方薬を使うこと、服薬アドヒアランスは患者側も服薬について理解・納得して薬物治療を受けることを指します。
前者は一方的で受け身ですが、後者は医師とのコミュニケーションをもとに患者主体で治療に取り組むことから、医師と患者が共に疾患治療をしていく昨今の風潮では、服薬アドヒアランスを「高める」ことが大切とされています。
しかし、実際には患者が薬を適切に飲めていない現状があります。すると、治療効果がじゅうぶんに出ないだけでなく、決められた通りのことができなかったという後ろめたさ、恥ずかしさから薬が飲めていないのに「飲めています」と診察の場で言ってしまう場合もあります。
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