「人間はなぜ働き続けるのか?」休みなくひたすら作業…産業革命で生じた過酷すぎる労働環境

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水町勇一郎
イギリス・サイエンスミュージアム(写真:niyan / PIXTA)
私たちはなぜ働く必要があるのでしょうか。そもそも、「働く」とはどういうことなのでしょうか。早稲田大学法学部教授の水町勇一郎氏は新著『社会に出る前に知っておきたい 「働くこと」大全』で狩猟採集社会の頃までさかのぼり、人間の「働き方」の歴史的変遷を解説します。

工業社会への移行と労働法の誕生

宇 野「農耕社会の生産性の高さが、都市とか専門的な職業を生む源泉となったんですね。働き方も、狩猟・採集とか農耕だけでなく、新しい専門的な職業が生まれていくもととなったのが、農業が生み出す余剰だったというのも興味深いです」

真 由「でも、その生産性や余剰を生み出す農耕作業って、そこで働く人たちに過酷な労働を課すもので、身体的にも大きな負荷がかかるものだったんですよね。こんな辛い思いをするくらいだったら、元の自然な生活に戻ろうってならなかったんでしょうか」

伊 達「なぜ、過酷な農耕社会から穏やかな狩猟採集社会に戻ることができなかったのか。現代にもつながるいい質問だね。その理由として、次の2つの説明ができるかもしれません。1つは、一旦生産性の高い生活を始めてしまうと、それが人間や環境にとって過酷な条件を強いるもので、それをだれも想像したり望んだりしていなかったとしても、解き放たれた変化の力に抗うことができなくなるという説明です」

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