免疫増強や肥満抑制も!「短鎖脂肪酸」が凄いワケ 「腸内でしっかり増やすためのコツ」を徹底解説
福田さんによると、短鎖脂肪酸の働きは、専門家の間では四半世紀以上前から注目されていたという。
近年になって脚光を浴びるようになったのは、「分析技術の発展によって、これまではわからなかった短鎖脂肪酸の作用機序や、その結果として発揮する健康効果が科学的に証明されてきたため」と、福田さんは説く。
短鎖脂肪酸はあらゆる健康のベース
では、短鎖脂肪酸は体にどんなメリットをもたらしてくれるのか。
実は、短鎖脂肪酸が発揮する健康機能は1つにとどまらない。私たち人間の健康のベース全般を支えているといっても過言ではなく、これまでに研究報告されているものとして、「便通改善」「免疫機能の増強」「肥満抑制」「アレルギー抑制」「持久力の向上」などがある。
そこで今回は、免疫機能と肥満抑制に注目して聞いてみよう。
●免疫機能の増強について
どんなふうに免疫に働くのか、その一例を見ていこう。
人の腸内で産生される短鎖脂肪酸は、主に酢酸・プロピオン酸・酪酸(らくさん)の3種類だが、これらは腸のバリア機能を強化し、免疫細胞を活性化する働きがある。
短鎖脂肪酸はとても小さい物質なので、腸内で作られると腸管の壁から吸収され、血液中に入り込む。そして全身を巡って、さまざまな臓器や器官に利用される。この際、ウイルスや細菌の侵入口となる目や鼻、口、気道の粘膜でも、防御反応を示せるよう免疫細胞に作用するのだ。
加えて、短鎖脂肪酸は体内に病原性のウイルスや細菌などが侵入するのを防ぐ抗体、免疫グロブリンA(IgA)の産生量も増やす。
IgAは抗原特異性が低く、さまざまな病原体に結合できるという特徴がある。そのため、IgAの産生量が増えれば、多様な感染症に打ち勝つ強い体を作ることにつながると期待されている。
このように、短鎖脂肪酸はヒトの免疫システムをパワーアップさせる重要な役割を果たしているのだ。
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