全員「元会社員」ケーキ職人の平均年齢は75歳 1978年創業の味を守り続ける中目黒「ヨハン」

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「健康のために、ウォーキングをしています。月に2、3回、地域の仲間たちと散歩会に参加して、12キロほど歩いているんですよ」

この健脚が、キッチンでの立ち仕事に活かされているのは間違いないだろう。「それはすごいですね……!」というと、小林さんは「ははは!」と軽やかに笑った。

35年間アメリカに住んでいたオーナー

ここに登場した7人のほか2名、計9名の職人を束ねるヨハンの3代目オーナー、和田さんはアメリカに留学した18歳から2023年、54歳まで現地に住んでいた。

大学卒業後、メディア業界で働きながら永住権を取得。アメリカに渡って16年、ようやくビザの縛りから自由になった和田さんに、ある日、エージェントから電話がかかってきた。

「あなたは日本語が書けますか? 読めますか?」

「当たり前でしょう」と答えた和田さんの言葉が真実かを試すテストが行われた後、そのエージェントの紹介で始めたのが、「ドキュメンタリービュー」。日本人や日本企業がアメリカで裁判沙汰になった時、現地の弁護士事務所からの依頼で資料や証拠として提出された日本語のドキュメントをすべてチェックし、裁判に必要なものを選り分け、時には要約まで手掛ける仕事だ。それまでとまったくの畑違いの仕事だったが、フリーランスで働けることに魅力を感じ、新たな一歩を踏み出した。

すぐに複数の弁護士事務所から依頼を受けるようになり、ニューヨークでの暮らしも安定。仕事が忙しくてヨハン創業者の父、利一郎さんの死に目に会えなかったという後悔と、医師の仕事をしながら店を継いだ母の博子さんが衰えてきたこともあり、2020年頃から1年に3カ月ほど日本で過ごすようになった。

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