キーエンスで25年「元採用トップ」が明かす極意→平均年収2000万円でも高収益を維持できるのは"創業者の理念"、ESと志望動機は不問の納得理由
採用力は“3領域”の掛け算
――キーエンスの特異性は営業面から語られることが多いですが、選考プロセスでES(エントリーシート)不要を明言するなど、人材採用も特殊です。採用方法を考える際、社内でどのような議論から始めましたか。
私が中途入社した1997年2月頃、キーエンスの採用方法は、十分に考えられたプロセスに思えなかった。これでは会社が求める人材を選び抜けないと思い、改善へと乗り出した。
キーエンスは「仕組み」を非常に大切にする会社だ。どの社員でも仕組みに従えば、効率的に成果が出せるように業務プロセスを定めている。私も入社早々、仕組みというキーワードを何度も聞き、人材採用でもそれに倣う必要があると感じた。
――具体的には、どのような仕組みを考案しましたか。
企業の採用力は“3領域”の掛け算で決まる。母集団形成力、選考力、辞退防止力、それぞれの領域で「差別化された、まねされにくい、競争力のある」仕組みを作ろうと考え始めた。
たとえば母集団形成を考える時は、3段階に分けた。第1段階はアプローチしなくても採用にエントリーしてくれる層だが、ここだけを相手にすると母集団が限られてしまう。
第2段階は潜在層でも顕在層でもないような、キーエンスの存在を知ればエントリーしてくれる層。この層には会社情報を提供するだけでよく、つまりPRすればよいということだ。ここまではどの企業の人事部もやっていることだと思う。




















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