「死ぬのが怖い人」に足りない、たった一つの視点──恐山の禅僧が語る「生き切る技術」
90歳を超えて「死に慣れる」方法とは
90歳を超えて生きる、いわば「死に慣れる」方法は、ある意味、理想的な死を実現できそうではあるが、実はこれもそう簡単ではない。
無論、生まれつき頑健な体の持ち主であることは当然の前提なのだが、だからと言って、それだけで誰でも90歳を超えられるわけではない。
とりわけ、男性が難しい。私の経験では、達成できる男女の比率は1:9、よくて2:8が実感である。
一説では、人間の生涯に必要なエネルギーは性差にあまり関係なく、男性は短時間に大きいエネルギーを放出できる身体構造(瞬発力重視)を持ち、女性は長期間エネルギーを保持する体(持続力重視)になっているのだという。それが寿命に出るわけだ。
人類誕生以来長きにわたって、食料調達と外敵の排除を男性が主に担い、子の出産と養育の多くが女性の役割だったとすれば、この違いは腑に落ちる話である。
丈夫な体の持ち主であることの他に非常に重要なのは、規則正しい生活をしているかどうかである。長寿の人は、多くの場合、若い頃はともかく、中年以降ある時期から、かなり規則正しい暮らしをしている。
特に重要なのは、起床と就寝の時刻、そして朝昼晩3食の時刻である。これがほぼ決まっていて、容易に変えない。特に高齢期に入ると、食材は多彩であるにしても、食べるものが決まっているケースも多い。つまり、食べ慣れたものを食べている。



















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