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全員「元会社員」ケーキ職人の平均年齢は75歳 1978年創業の味を守り続ける中目黒「ヨハン」

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「自分で考えたやり方でうまくいった時のうれしさってあるでしょう。仲良くしてる人に『こうやったらうまくいったよ』と教えてね。そうしたら、その人もいろいろ工夫してるんだ。そこがやっぱ手作りの良さで、オートメーションの機械でやるのとは違います」

いまだ腕を磨くことに余念がない小野さんの目標は、「先輩ぐらいのレベルになること」。その先輩のひとりが、高野袈裟松さんだ。

「できるだけ長く働きたい」と語る86歳

1939年生まれ、長野出身の86歳。実家は米農家だったが、次男だったため、上京して一度就職。20歳の時に転職した先が、住友ベークライトだった。同社では、日本各地の工場を転々としながら、今はめったに目にすることのない「黒電話」の製造一筋、40年。

定年退職する際、ヨハンで働いていた先輩から「お前もこいよ」と誘われた。その先輩は友人でもあったから、ケーキ作りの経験はなかったものの、「気楽な感じ」で入社した。ところがケーキ作りは想像以上に難しく、先輩たちから仕事を任せてもらえるまでに3、4年かかったそうだ。

86歳にして「疲れたなんて言ってしまうと、次の日出てこれないよね」と笑う高野さん(撮影:佐々木仁)

「電話機を作ってる時も、ケーキ作ってる時も、先輩を頼りにして、怒られて、その繰り返しだよね。先輩に『ちょっと作ってみてもいいよ』と言われた時は、ホッとしました」

ヨハンで働き始めて、26年。「自分でやるのが精一杯で、教えるのは得意じゃない」と高野さんは言うが、後輩たちは黙々と仕事をする高野さんの背中を見て学んでいる。冒頭に登場した新人のひとり、水谷さんはその仕事ぶりに感嘆する。

「高野さんは、リズムがあるんですよね。先週、一緒に並んで仕事をしたら作業が速くて、さすがベテランだと思いました」

ヨハンで勤め始めた時は、こんなに長く働くとは想像もしていなかったそうだ。これまで、体調不良や体の衰えを感じて引退した先輩たちを何人も見送ってきた。

「先輩といっても、もう仲間とか友達みたいな関係になっているから、切ないよね」

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