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全員「元会社員」ケーキ職人の平均年齢は75歳 1978年創業の味を守り続ける中目黒「ヨハン」

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「最初は下働きだろうと思っていたんです。でも、入ってすぐに団子の配合とか大事な仕事をどんどん任せてもらえて、うれしいですね。それに、先輩たちは計算機を使わなきゃできないような計量の計算も暗算するんですよ。そういう姿を見て、年をとっても先輩たちのようにありたいなと思うようになりました」

ヨハンの仕事は、ヨーカドーで長年携わった品質管理に通じるものがあると感じている。

「伝統的な味を守ることに、先輩はみんなすごく厳しいんですよ。1つのケーキに配合する卵の量、小麦粉の量、すべてグラム単位でチェックしていますし、卵の殻が入ったら、どんなに小さくてもスプーンですべてすくってきれいな状態にします。ちょっとした油断でお客さんの信頼を失ってしまうんだという考え方が徹底されていますね」

「どうせなら年上から教わりたい」

北原さんと同じく、東京新聞の記事を読んで一歩を踏み出したのが、同期の増田さん。増田さんは大学卒業後、広告業界に入り、30歳で広告代理店大手のアサツー ディ・ケイ(ADK)に転職。同社で60歳までクリエイティブディレクターを務めた。その後、独立して現在も広告の仕事を請けながら、ヨハンでも働く。増田さんは40代の頃から職人の世界に思いを馳せてきたという。

「広告って若い人たちがどんどん出てきて活躍するから、40代後半になるとポジションが難しくなるし、少し仕事に飽きてきた時期だったんですよね。その頃、早期退職制度ができたので、これはいいチャンスかもしれないと思ったんです。僕はパンが好きで自宅でもパンを焼いていたから、パン職人になろうと思って。でも、結局、家のローンを考えたりしたら辞めることもできないまま定年を迎えました」

「おいしかったらまた買いに来てくれる。それがシンプルでいい」語る増田さん(筆者撮影)

60歳で独立して間もない頃は、それなりに仕事もあった。しかし、少しずつ依頼が減り始め、「年金が出る65歳までどうしたらいいのか」と悩み始めた時、東京新聞の記事を目にしてこう考えた。

「どうせイチから教わるなら、若い人より年上から教わるほうがいい」

子どもの頃、プラモデルやジオラマを作るのが好きで、指先の繊細な感覚に自信があったことも、背中を押した。

実際に働き始めてみると、先輩たちの動きに目を奪われたそうだ。

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