村上春樹も住んだ男子寮「和敬塾」の濃密な日常 令和でも健在「同じ釜の飯を食う」濃い人間関係

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グラウンド
和敬塾のグラウンドでは体育祭などさまざまな伝統ある行事が行われてきた(写真:梅谷秀司撮影)

寮では同じ階の学生十数人が一緒に行動する「階活(かいかつ)」というものもある。1カ月に1回は階活で何かをやるという決まりがあり、新入生も責任を持って企画を立てる。大野さんも夏に東京タワーに行く企画を立てた。本当は東京タワーを階段だけで上ろうと思っていたが、熱中症対策のために階段が閉鎖されていたため、普通にエレベーターで上に上がった。「寮の先輩や友人は大学の友人たちとはまったく違いますね。これからはほかの寮の学生とももっと交流したいです」と大野さんは言う。

学生同士の距離感の近さ

新南寮で暮らすのは、早稲田大学先進理工学部3年の松岡啓太さん(21)。横浜市出身の松岡さんは本来なら自宅から大学に通えるが、和敬塾出身である父に強く入寮を勧められたという。

松岡さんも一人暮らしに興味を持っていたことから、父の「和敬塾は人間関係が勉強になる」という話を受け入れ、入寮を決めた。父が南寮だったことから、南寮の後継である新南寮を選んだ。

新南寮ラウンジ
新南寮のラウンジでは学生たちが会話に花を咲かせながらくつろいでいた(写真:梅谷秀司撮影)
新南寮前
新南寮で生活する早稲田大3年の松岡啓太さんは和敬塾の中でもリーダー的存在だ(写真:梅谷秀司撮影)

入寮して驚いたのは、先輩との距離感の近さだった。入寮してすぐに寮内をあいさつ回りして1時間程度先輩たちと話すといい、そこから「この人はどんな人なのだろうという、人間の探り合いが始まりました」(松岡さん)。男子寮でバンカラな雰囲気がある和敬塾には先輩の意見や命令は絶対というイメージがあるが、「今は先輩ともきちんと対等に話せます。昔はそういう雰囲気もあったようですが、今はまた違う雰囲気で楽しいです」と話す。

松岡さんは大学2年のとき、大野さんも話していた体育祭の体育部長として行事の運営役も務めた。競技会場の用意や各種目のルール作りなどを各寮の代表者らと話し合って決めた。体育祭では、皆に胴上げしてもらったことが思い出だ。

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