1990年末に、モスクワ国立大学の学生有志からなる「記者クラブ」から興味深い相談を受けた。筆者が学生たちの日頃の協力をねぎらって「ザラトイ・ドラゴン(金龍)」という中華料理レストランで忘年会をしていたときのことだ。
学生たちの会社設立
「佐藤さん、僕たちの『記者クラブ』は、現在は任意団体だけど会社にしたい。そうすれば大使館や外国通信社との契約が取れると思う」
「会社登記は簡単にできるのか」
「簡単だ。大学も学生に起業を奨励している。大学の奨学金だけでは学業を続けられない。親も経済的に厳しく、支援を頼める状態ではない」
「君たちレベルの能力があれば、外国の新聞社やテレビ局でのアルバイトができる。そうすれば月50ドルくらいにはなる。十分生活できるのではないか」
「外国メディアは、アルバイトであってもフルタイムでの勤務を要求する。それだと学業と両立しない。それに外国人の下でこき使われるのは嫌だ。日本大使館は僕たちを使用人と見なさずに、対等のパートナーとして扱ってくれる。あなたは今日も僕たちのために食事会を催してくれた」
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