日本ラグビー、悲願「ベスト8」への扉は開いた 徹底した「低いタックル」が効果を発揮
「夏の甲子園で優勝した東海大相模高校のナインがプロ野球のソフトバンクホークスに完封勝ちした」「100メートル走で日本人選手がウサイン・ボルトに競り勝った」……。ネット上では、ありえないような「たとえ話」が盛り上がることがある。今回のラグビーW杯での日本代表の南アフリカ撃破は、そうしたたとえ話にも匹敵するような歴史的快挙だ。
筆者がお世辞にも強豪校とはいえない大学で楕円球を追いかけていた1980年代前半は「ラグビーブーム」の全盛期。伏見工業高校の花園制覇を題材にした「スクールウォーズ」が話題を集めた。大学ラグビー伝統の早明戦はNHKでなく民放が生中継したこともあった。だが、人気は下火となり、盛り上がりを欠く状態が長らく続いた。
なぜか悪役になってしまったラグビー
「ラグビーはルール難しいし、興味ないので……」。これまでこの言葉に何度、打ちのめされてきたことか。「南アフリカに勝ったニュースを聞き、初めてラグビーのW杯が行われていることを知った」。テレビ番組に出演していた某コメンテーターはこんなことを言っていた。
2019年の次回大会の日本開催が知られるようになったのも、例の新国立競技場の建設計画問題がきっかけ。選手はまったく悪くないのになぜか、ラグビーが悪役になってしまった感があった。それだけに、今回の快挙はラグビーに関わってきた人々にとって、まさに溜飲の下がる思いだったに違いない。
なぜ、人気低迷が長期化したのか。その一因はやはり、日本代表が国際舞台でこれまであまり実績を残せなかったからだろう。1987年に開催されたW杯の第1回大会から今大会まで8回連続で参加しているが、前回大会までの実績は1勝21敗2引き分け。勝率1割にも満たないチームが、過去2回優勝した経験のある「スプリングボクス」(南アフリカ代表の愛称)を倒してしまった。
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