「オールブラックス」が海外で稼ぎ始めた理由 ラグビー不人気の米国でも6万人超の大観衆
米国シカゴで行われたイーグルスの試合に6万2000人の観客――。米国でこの人数となるとアメリカンフットボールの話のようだが、実はそうではない。イーグルスとは同国のラグビー代表のこと。昨年11月、このイーグルスの試合に、なんと6万2000人が足を運んだのである。
「強いもの好き」の米国人の心をとらえた
米国は“ラグビー後進国”。アメフトを筆頭に「三大スポーツ」と称される野球、バスケットボールに比べると、競技人口も少なく、人気はイマイチだ。にもかかわらず、当日の競技場の観客はほぼ満員。試合後のダウンタウンのレストランでは、多くのファンがラグビー談義に花を咲かせたという。
日本もラグビーの話はあまり流行らなくなってしまったが、1980年代にはラグビーが花形スポーツと称され、改修前の東京・国立競技場で行われていた当時の大学ラグビーは、観客がスタンドを埋め尽くしていた。
スポーツでの国立競技場の観客動員は1964年の東京五輪開会式と閉会式を除くと、実は1位が1982年の「早明戦」であることはあまり知られていない。だが、今やそれも遠い昔の話。2019年にはW杯開催が決まっているというのに、盛り上がりを欠き、最近ではラグビーで6万2000人の観客動員を記録することなど考えられない状況だ。
その日本よりも人気のないはずの米国でなぜ、多くの人が集まったのか。疑問を解くカギはイーグルスの対戦相手である。「オールブラックス」。「世界最強」のニュージーランド代表チームだ。そのブランド力は抜群。「強いもの好き」といわれる米国国民の心を捉え、三大ネットワークのNBCも試合を放映した。
実は、日本にも同時期に、「マオリ・オールブラックス」が上陸していた。日本代表と試合を行った。「マオリ・オールブラックス」はオールブラックスの“別働隊”。ニュージーランドのマオリ族の血を引く選手のみで構成されたチームだ。実力はナショナルチームに見劣りするが、日本代表と戦った2試合はいずれもきっちり勝利を収めた。
こうした海外でのゲームは、北米やアジアの市場を開拓しようというオールブラックスのブランド戦略の一環だ。ニュージーランドではラグビーが国技の一つ。多くの人たちが幼いころから遊び道具として楕円のボールと戯れる。オールブラックスの選手は国民的英雄だ。
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