日本ラグビー、悲願「ベスト8」への扉は開いた 徹底した「低いタックル」が効果を発揮

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「攻撃が最大の防御」という言葉があるが、南ア戦での日本代表の戦いぶりはさながら「防御が最大の攻撃」。膝下に突き刺さるようなタックルは長身の外国人選手が嫌がるプレー。初対戦の南アのフィフティーンも多いに苦しめられた。

南アフリカ代表にとってはショッキングな敗戦だった

この熱戦をテレビで観戦していて思い出したのが花園行きの切符を賭けた昨年の全国高校ラグビーの東京都予選第1地区決勝だ。試合は伝統校の国学院久我山に対して明らかに体格の見劣りする成城学園が互角の戦いを演じ、大熱戦となった。

試合は久我山が終了間際にペナルティーゴールを決めてわずか3点差で花園行きを決めたが、接戦になったのは成城のディフェンスによるところが大きかった。低いタックルを連発して久我山の前進を阻むシーンは観客を魅了。場内には「成城コール」が自然に沸き起こった。

日本対南アフリカ戦で場内に響き渡った「ジャパンコール」も、2メートルを超える大男をズラリとそろえた南アに敢然と挑んだ「ブレイブ・ブロッサムズ」の勇姿が観客の心を揺さぶった証左にほかならない。

次はスコットランド戦

試合後のアマナキ・レレイ・マフィ選手と山下裕史選手(写真:ロイター)

「ラグビーは今、親が子どもにやらせたくないスポーツの一つ」。こんな悲しい話を聞いたことがある。「きつい、汚い、危険」の「3K」の要素を備えているのが理由という。だが、日本代表の感動を呼ぶプレーはそうした認識を変えるきっかけになるかもしれない。ラグビー人口の裾野の広がりも期待できる。

気の早い話だが、今回の勝利は、2019年に日本で開かれるW杯にも追い風になったはずだ。会場には国外からだけでなく、国内からも多くの観客が詰めかけるに違いない。大きなスポーツ大会が盛況に行われることは当然、日本の経済にも刺激材料だ。

W杯はスコットランド、サモア、米国戦とまだまだ気の抜けない試合が続く。だが、目標のベスト8進出への扉は開いている。ここで1つ1つ、良い戦いをしていけば、世界が日本ラグビーを見る目も変わることだろう。

松崎 泰弘 大正大学 教授

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まつざき やすひろ / Yasuhiro Matsuzaki

フリージャーナリスト。1962年、東京生まれ。日本短波放送(現ラジオNIKKEI)、北海道放送(HBC)を経て2000年、東洋経済新報社へ入社。東洋経済では編集局で金融マーケット、欧州経済(特にフランス)などの取材経験が長く、2013年10月からデジタルメディア局に異動し「会社四季報オンライン」担当。著書に『お金持ち入門』(共著、実業之日本社)。趣味はスポーツ。ラグビーには中学時代から20年にわたって没頭し、大学では体育会ラグビー部に在籍していた。2018年3月に退職し、同年4月より大正大学表現学部教授。

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