誰もがぶつかる「40歳の壁」攻略した人が強い真実 「得る」から「減らす」へ、潮目が変わる人生の分岐点

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物思いに耽る男性
仕事や家族、これからの人生など、40歳前後で「壁」を感じる人は多いようです(写真:Maki Nakamura / Getty Images)
「このままの働き方で大丈夫か不安」「仕事と家事・育児の両立に限界」「残りの人生も今の積み重ねでいい?」
40歳前後で多くの人が抱える「モヤモヤ感」。音声メディアVoicyで人気の尾石晴さんは自身の経験も踏まえながら、「40歳の壁」の正体を分解しつつ、人生の後半戦を自分らしく生きるためのヒントを伝えています。
尾石さんの著書『「40歳の壁」を越える人生戦略 一生「お金・つながり・健康」を維持できるキャリアデザイン』より一部を抜粋し、2回にわたってお届けします。

中年期の危機「ミッドライフクライシス」

「ミッドライフクライシス」という言葉を聞いたことがありますか? 中年期特有の心理的危機、中高年が陥る鬱病や不安障害のことで、30代後半~50代にかけて陥りやすいといわれています。

人生の中盤まで来ると、周りの評価や社会の基準から、「自分はどれくらいのレベルなのか」がなんとなく見えてくる。「自分の人生、これでいいのかな……」と迷い始める時期です。

・このまま定年まで働き続けられるか不安になってきた(雇用不安)
・ろくな経験や資格、職歴を持っていない気がする(スキル不足不安)
・最近、筋力や体力の衰えを感じる(健康不安)
・子どもが小学生になり、あと10年ほどしか一緒にいられないと思うと寂しい(子離れ不安)
・白髪が目立つようになって、自分の容姿の衰えに萎える(老化不安)

キャリアの方向性を見失い、突然資格を取ってみたり、何かを変えたくなって思い切って物を整理してみたり。体力の衰えから、毎日の子どもの宿題の丸つけや忘れ物チェック、習い事の送迎がきつかったり、疲れを癒やすのはだらだらスマホだったり。

女性の場合は仕事、家庭、子どもの年齢や人数、容姿の変化、老後の見通しなど、気になる要素が複雑に絡み合っています。それぞれに対応しようとすると、やることが多すぎるため、ジタバタしがちです。

男性の場合は、仕事では「このままだと、この辺りに着地しそうだな」と先が見えて行き詰まりを感じたり、体力の衰えから男性らしさを失う不安に駆られたりします。その結果、急に転職や起業をしたり、アウトドアに目覚めてキャンプ用品を一気にそろえたり、筋トレに励んだりしがちです。

この「中年の危機」は、心理学者エリクソンの「心理社会的発達理論」で説明することができます。「人生には何度か壁が出現する。それを越えることで、心理的に成長していく」という考え方です。

人は40歳くらいまでは、新しい感覚や知識を得ることを軸に発達していきます。この世に誕生後、身体も精神も成長していき、社会に出て、生き方を選び、自分の家族をつくり、愛を得て成長していく。だいたい40歳で成長のピークを迎えます。

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