鳥羽シェフ「ビジネスでモテる」ための言語化術 相手の「課題」を見つけてあげることも大事
また、レストランに置く家具も同様です。
僕のレストランでは、マルニ木工さんという、広島に本社のある木工家具ブランドの椅子を使っています。その椅子はとにかくなめらかで、座り心地が素晴らしい。
なぜなら、木を磨く高い技術を持った職人さんがいるからです(実際に僕は工場を見学させてもらい、職人さんの仕事ぶりを見せていただきました)。
たいていのレストランは、椅子にクッションを置きますが、僕はそのなめらかさをお客さんに感じてほしいため、クッションを置きません。僕がマルニ木工さんに椅子をオーダーする時、「クッションをつけますか?」と言われたので、「あんなに素晴らしい磨きの技術をお持ちの方が丁寧に仕事した椅子に、僕はクッションなんかつけられません」と言ったら、「そんなことを言ってくれる人は、鳥羽さんだけです」と感激され、それ以来、ものすごく親密になりました。
相手を口説く時に不可欠「ロジックと熱量」
相手を知るには、その構成要素を細かく分解することも大事です。
例えばラーメン屋さんなら、スープ、麺、香り、温度など。そしてそのお店が特に大事にしているのが、麺の香りとスープの味の濃さなら、「この温度でこんなにクリアな麺とスープを出すところ、ちょっとないですよね」と言えば、一緒に仕事をしていいと思ってもらえる最低ラインはクリアできる。
その上で「僕なら、さらにこうします」という風にロジカルにこちらのやりたいことを提示し、こちらの熱量を伝えます。
ロジックと熱量、これが相手を口説く時に絶対必要なもの。どちらを先に見せるかは、僕は相手のタイプによって変えるようにしています。
また、何かを精度高く理解するためには、自分の感覚だけではいけません。自分の「いい、悪い」「好き、嫌い」だけだとどうしても、理解の精度が低くなる。
例えばある建築家さんと仕事をする話になった時、「〇〇さんって、すごく光の採り入れ方がいいですよね」と言ったとします。
確かに自分では、その人の光の採り入れ方がいいと思っても、その人がそれについてどういう考え方を持っているか、業界ではどういう評価をされているか、そもそも建築の世界で光を採り入れることは、どれくらい重要なことなのか——そういうことを理解し、言語化しなければならない。それがなく、自分の感覚だけだと、相手の心はつかめません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら