進学校の子の親ほど「子供の将来」に苦しむ矛盾 「将来への備え」という現代病にかかっている
教えられたことは身につかない
鳥羽:「学校の勉強には意味がない」という言葉の真意をもう少し聞きたいです。というのも、僕は学校のカリキュラムはある程度よくできてると思っていて。やり玉に挙がりやすい「丸暗記」の勉強を含め、無意味ではないという立場なんです。
井本:そうか。確かに自分の興味のあることを学ぶうえでは有用な面もあるとは思います。でも問題なのは、学校では「できる/できない」で評価するというところです。「できる」ことが評価されるのであれば、子どもたちは評価されたいので「できよう」とします。すると、自分のやり方、考え方でやるのは損だと思うようになります。なぜなら、自分のやり方でやるとは試行錯誤、つまり何度も失敗をすることを前提にしているからです。
つまり「できる」ことを評価すればするほど、子どもたちは学びにおいて自分を封じることを「学ぶ」わけです。その証拠に、テストで正解を導くやり方がわかっているのに、あえて「自分は別のやり方でやってみよう」なんて思う子はほぼいないですよね。学んだ解法に沿って正解を導くのではなく、いまある自分の手持ちでなんとかする。そうして自分なりの道をたどっていくなかで、気づかぬうちにいろんなことが身についていく。それこそが本当の学びだし、勉強としても楽しい!
たとえ一生懸命、自分なりに思考した結果、間違ってしまっても、むしろ子どもたちはそこからたくさんのことを学んでいきます。一方で教えられたことは身につかないんです。
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