また、セブン&アイ・ホールディングス系列のデニーズもそうだ。
もともとデニーズはリーマン・ショック後の2009年とコロナ禍の2020年に店舗の大量閉店を行っており、現在では売上高は徐々に上昇してはいるものの、業界内での位置付けがパッとしない。
実際、ガストが提供するコース料理は、デニーズでも行われていたが、そちらの方はあまり話題に上がっていない。どこか印象が薄くなってしまっている。
そんなことを私が話していると、担当編集がこんな意見を言った。
「ファミリー層や子供連れが多いこともあって、私や私の周囲の友人は重宝しているのですが、単にそれだけだから行っている、というのも否めませんよね。安いわけじゃないし、美味しいメニューもあるけど、そうではないものも普通にある。正直、これというイメージがないんですよ」
確かに、「デニーズといえば、これ」というイメージはなく、消去法的に行く店になっているのかもしれない。
いずれにしても、中価格帯店はファミレスとしての個性が失われがちになりつつあるのだ。
ファミレスの二極化を進めた「一億総中流」の崩壊
こうしたファミレスの二極化はどうして発生するのか。
それは単純で、ファミレスを含めた現代の社会が、資本主義のシステムで動いているからだ。
資本主義下では、基本的には「持てる者」と「持たざる者」の格差は拡大する方向に進む。これは、ベストセラーとなった『21世紀の資本』の中で、トマ・ピケティが明確に指摘した通りである。
となれば、人間に対するサービスを扱っている以上、ファミレスもこうした格差の拡大に対応せざるを得ない。単にこうした社会の変化に伴って起きている変化なのだ。
逆に、これまでのファミレスがファミレスたり得ていたのは、世界的に見ても特殊な「一億総中流」の状況が(わずかとはいえ)日本に存在していたからなのかもしれない。
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