コタツ記事が蔓延するWebメディアに対する苦言 ノンフィクション作家が説く現代の「書き手」論
SNSからの切り抜き記事が氾濫する今の時代。しかし、このような状況だからこそ「書き手独自の視点や考えが大事」と語るのがノンフィクション作家の石井光太氏。
海外のスラムや東日本大震災、教育現場と、あらゆる現場において独自の視点で精密な取材を続けてきた石井氏が、今回初めて自身の取材・執筆・企画の方法論を明かした新著『本を書く技術』を上梓。
生成AIが文章を作れるようになりつつある今の時代、書き手はどう行動していくべきか、石井氏に聞く(全2回の1回目)。
コタツ記事が蔓延するメディア
―今のメディアはコタツ記事や切り抜き記事が蔓延していますが、このような風潮はどうして起こっているのでしょうか? 石井さんの見解をお聞かせいただけますか。
一番はビジネスモデルですよね。特にWebメディアはPVに対しての広告費で稼ぐモデルなので、1日何十本とたくさん記事を出さなくてはいけません。そのような状況では、記事1つひとつに対して精度を高めること自体が難しいですし、予算もあまりかけられないので校閲すら入れていないところもある。
書き手も少ない原稿料で稼ぐために大量生産していかなきゃいけないですし、きちんと取材した記事よりもいわゆるコタツ記事みたいなもののほうが読まれるし儲かるわけですからそっちに流れていく。そのような環境では書き手は当然、育たないし、成長しようとも思わない。
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