コタツ記事が蔓延するWebメディアに対する苦言 ノンフィクション作家が説く現代の「書き手」論

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そして読む側としても、ファクトチェックも含めた文章の正確性をまったく気にしないわけではないけれど、重要視していないんですね。それよりも、いろんな情報が流れていく中から自分の興味のあるものを見つけて、それに対して何かを言ったり思ったりするという1つの材料でしかなくなってしまっています。だからメディア側だけでなく読者側の問題でもあります。

Web記事自体の閲覧数もすごく減っていますし、メディア同士で広告のパイの取り合いになっているので、こうしてメディアが発信するテキスト全体の質というのが本当に下がってきているのが現状なのかなと思います。おそらく今後もっとひどくなっていくのではないでしょうか。

生成AIの時代、書き手に求められるのは?

―今のような状況で、書き手はどう行動していくことが大事だと考えていますか。

本来、書き手はこのようなビジネスモデルの歯車の1つであってはならないわけです。なぜその人は書くのかという意味が本来はあったはずなんです。事実を見極めて、それを単純に情報ではなく自分なりの考えや視点をのせて文章で表現する。

雑誌のルポみたいなものは元々そうだったわけです。ただ、お話ししたように今のメディアではそういったことを求められないので、情報を流すだけになってしまっているわけです。

しかしそれはAIに取って代わられてしまう仕事ですよね。例えば、ワイドショーで誰がどういう発言をしたか、SNSでどの話題が盛り上がっているか、こうした記事は数年後にはAIが誤字脱字のない状態でしっかり作れるわけですよ。人間がやる必然性がなくなってきますよね。工場労働がロボットに取って代わられているのと同じことが、文章でも起こっています。

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