実は売上減少の「養命酒」が狙う"起死回生"の秘策 新規事業の名は「くらすわ」…って一体それなに?
「養命酒が薬局で1本売れても、目に見えないので実感できません。ですが、努力して開発したパンが目の前で売れるとうれしい。その積み重ねを経験できたから、今があると思います」。福盛さんは安堵を滲ませる。
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この喜びは、スピード感ももたらした。もともと、養命酒製造は老舗企業らしく、穏やかな社員が多い傾向があった。養命酒は400年のベストセラーとして安定しているし、新製品を開発するにしても、その完成と発売、さらに結果がでるまでには、長い長い時間が必要だからだ。
そんな「ガツガツしていない」企業風土は居心地がいいながらも、変革が進まない原因にもなっていたという。しかし、くらすわの店舗での接客を通じて、スピーディーな判断と行動が求められるようになり、組織は徐々に活性化していった。
商品開発の成功が、組織変革の追い風に
特筆すべきは、商品開発の成功が、組織変革の追い風となったことだろう。徹底的においしさと安心にこだわったくらすわの商品は、経営陣を含む、社員のファンを生み出したのだ。そうして気づけば、多くの社員が一度はくらすわの森へ足を運んでいた。
「過去には、どんな施設ができても、強制でない限りそんなことはありませんでした。社員たちが自分で商品を購入して味わい、店先でお客様が商品に群がる様子を見たことも、くらすわへの協力につながったと感じています」と福盛さんは感慨深げ。
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