実は売上減少の「養命酒」が狙う"起死回生"の秘策 新規事業の名は「くらすわ」…って一体それなに?
養命酒製造の執行役員で、くらすわ事業の責任者である福盛さんは、このように記憶を辿る。

ベンチマークしたのは、“だしの茅乃舎”“米のAKOMEYA TOKYO”のような、提供商品がひと目でわかるビジネスモデルだ。「よろずやみたいな店では、お客様が集まらないのでは」と危惧した結果だった。
他方、デザインにおいては、無印良品のようなナチュラルさを、ビジネス展開では、上質な商品を数多く扱い、全国に出店する久世福商店を目標とした。
商品開発においても、生薬や和漢素材はあえて軸にはしなかった。そこに囚われることなく、「お客様が安心して手にとって食べていただけるもの」を徹底的に追求。化学調味料や農薬を使った野菜を可能な限り減らし、「健康に寄与する」「おいしく、食べて安心」という世界観を打ち出した。

ファン像として意識したのは、老若男女誰でも、その考えに共感してくれる人だ。「おいしくたのしい体験をしたい人、身体に気を遣った食事をとりたい人は、みんなお客様だと考えました」と福盛さんはにこやかに言う。
拠点を増やし、森へと広がる構想
こうしてブランドの形が定まり、くらすわは着実に認知の場を広げていった。諏訪の複合施設を本店に据え、長野市にショップ、松本市には和食レストランを開設。さらに首都圏進出の足がかりとして、東京スカイツリータウン・ソラマチに、ショップとベーカリー、カフェ、レストランを備えた店舗をオープン。ECサイトも完成した。

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