この矛盾を解決するには、どうすればいいのか。ダックワースが勧めるのは、日常的な小さな目標を設定することだ。
その目標は、日々ささやかな勝利を積み上げつつ、それと同時にもっと大きな夢やビジョンの実現に近づき、意欲を保てるようなものにする必要がある。
この2つの要素を組み合わせれば、好ましい結果が起こりやすくなる。
そのためにもリーダーや保護者は叱咤と激励の両方を与えなければならない。
成功は、山ほどの失敗のあとに訪れる
運に関する私たちの評価は時間とともに変わることもある。状況や入手できる情報によって、同じ出来事でも解釈はまったく違ってくる。
厳しい状況でやめてしまえば、不運として終わってしまう。他のエンディングの可能性が残っているのに、物語を完結させてしまうことになる。
私が共同創設者となった組織が破産しかけたとき、私は何をやっても裏目に出るような気がした。組織のアイデンティティも私自身のそれも、脅かされているように感じた。
だが長い目で見れば、これは組織にとって幸運なことだった。投資家と距離を置き、コミュニティに軸足を置いた運営に舵を切ったことは、組織のアラインメントと持続性にプラスだった。
ただ、それは後になって初めてわかったことであり、そうなるまでに感情的な浮き沈みをたくさん経験しなければならなかった。主要メンバーがあれほど粘り強くなかったら、まったく違う結果に終わっていた可能性もあった。
私は今でも高校を退学させられた日のことを覚えている。退学になっただけでなく、同じ学年をもう1回やり直さなければならなかった。
放校自体、愉快なものではなかったし、もともと拒絶される恐怖や疎外感を常に抱いていたので、なおさらだった。
新しい学校では先生には恵まれたが、それでも私がアビトゥーア(ドイツの大学入学資格試験)に合格したのは奇跡としかいいようがなかった。
悲惨な高校の成績表と、何とか体裁を整えた願書を用意し、私は40以上の大学に出願した。
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