幸運を育む「セレンディピティ感度」の上げ方 「無自覚な先入観」が成功を遠ざけてしまう訳
あなたにとって世界は障害でいっぱいだろうか。それとも機会にあふれているだろうか。さまざまな制約があることを、物事がうまくいかない口実に使っていないだろうか。
どれほど困難な状況にあっても、人生に喜び、ときめき、成功をもたらす可能性を秘めたセレンディピティの機会に、絶えず注意を払っているだろうか。
「助けが必要な人」という「枠組み」
ここ10年、私はさまざまな研究者とともに、リソース(資源)に制約のある環境を研究してきた。資金もなければ、世間で認められるようなスキルもない状況だ。
その過程で、明らかな環境的制約があるにもかかわらず、自ら積極的に幸運を生み出している多くの人と出会うことができた(彼らと、世界中の成功者との共通点の多さには驚かされる)。
そうした人物の1人がユサフ・セサンガだ。ウガンダで生まれ育ち、国民の大半が貧困ライン以下で暮らすタンザニアに10代後半で移った。西側先進国の基準に照らせば、ユサフは物理的豊かさや人生の展望という点で、かなり厳しい状況に置かれていたことになる。
タンザニアには、西洋の工業国から善意の人々が次々にやってきて、「何が必要ですか」「どうすれば助けてあげられますか」と尋ねてくる。
これによってユサフのコミュニティは、有無を言わさず「支援を受ける側」、悪く言えば受動的で無力な環境の被害者という枠組み(フレーム)でとらえられる。
これはコミュニティの人々の起業家精神に冷や水を浴びせ、施し文化を助長する。残念ながら欧米の非政府組織のなかには、いまだにこのやり方を続けているところもある。
このような「フレーミング」を劇的に変えたのが、南アフリカのソーシャル・ベンチャーである「リコンストラクテッド・リビングラボ(人生再建ラボ、Rラボ)」だ。
Rラボは、自分たちにはリソースがないという見方に疑問を抱き、それまで見過ごされていた、あるいは過小評価されていたリソースに目を向けた。たとえば元ドラッグ密売人が持つノウハウなどだ。
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