「医療の進歩」の“とんでもない代償”
「歴史を知らないと、すべてが前例のないものに感じられる」と、かつて作家のケリー・ヘイズは書いた。とても重要な考え方だ。
歴史家のダン・カーリンは、著書『危機の世界史』(渡会圭子訳、文藝春秋)の中で次のように書いている。
〈我々とそれ以前の人類との大きな違いは、病気による影響がきわめて少なくなったことだ……もし我々のような現代人が、産業革命以前の先祖たちと同じ死亡率で1年間暮らしたら、大きなショックを受けてしまうだろう。〉
現代の生活は、全般的にかつてないほど安全になっている。前世紀に見られた多くの進歩は、感染症の減少によるところが大きかった。1900年には、毎年10万人あたり約800人のアメリカ人が感染症で死亡していたが、2014年には、10万人あたり46人と、94パーセントも減少した。


















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