「老親の衰え」に寄り添う"具体的なサポート"4つ 「親のかかりつけ医」とも1度は会っておくこと

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高齢になれば白内障や緑内障の検査も必須です。白内障は手術で治る病気ですし、緑内障は早めの治療で進行を遅らせることができます。いずれも初期段階では自覚症状がほとんどない疾患ですから、検査を受けるきっかけは子がつくってあげてください。

「耳がよく聞こえない状態」は認知症にも悪影響

そして耳です。年をとって「耳が遠くなった」と高齢者が訴えるのは加齢性難聴(老人性難聴)の症状で、65歳を過ぎると増えてきます。

75歳を過ぎると7割以上の人が発症するともいわれますから、親の話し声が大きくなってきたり、「えっ、なに?」と聞き返す場面が増えたりしたら、耳鼻科で聴覚検査をしてもらうといいでしょう。

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ですが、残念ながら難聴の治療法はまだありません。対策としては補聴器をつけることになりますが、補聴器は介護保険が使えません。2万~3万円台の製品が販売されている一方で、耳鼻科の検査結果をもとに補聴器取扱店でオーダーメイドすると両耳で30万~50万円くらいします。

補聴器は「合わない」「雑音が気になる」といって使用をやめてしまう人もいれば、「音がクリアになって会話が楽しくなった」と喜んでいる人もいます。購入した機器の性能差もあるかと思いますが、耳がよく聞こえない状態は認知症が進行する一因になりますから、親が嫌がらなければ補聴器はつけたほうがいいのではないでしょうか。

高齢者の聴力は少しずつ低下していきます。高額な補聴器にはアフターケアとして音質や音量の調整ができるものもあります。後々のことを考えると、性能のいい補聴器を親に使ってもらうことは、決して高い買い物ではないのかな? という気もします――。

歯も、目も、耳も、老化を止めることはできません。親の生活状況を温かく見守りながら、定期的に検査や診察を受けさせることが、元気に長生きしてもらうために欠かせない恩返しになると私は思います。

田中 克典 ケアマネジャー

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たなか かつのり / Katsunori Tanaka

1962年、埼玉県生まれ。日本福祉教育専門学校卒業後、福祉系の出版社
を経て、東京都清瀬療護園(重度身体障害者入所施設)、清瀬市障害者
福祉センター(デイサービス、ショートステイ)などで介護経験を積む。
1984年にはインド・コルカタの故マザー・テレサ女史の運営する施設で
介護経験し、テレサ氏とも懇談する。2000年、介護保険制度の発足と同
時にケアマネジャーの実務に就き、これまでに約500人の高齢者を担当
した。現在は株式会社スタートラインで現役ケアマネジャーを務めてい
る。主な資格は主任介護支援専門員、産業ケアマネ3級。
著書に『介護保険のかしこい使い方』(雲母書房)、『親の介護の不安や
疑問が解消する本』(日本実業出版社)、『親の介護手続きと対処まるわ
かりQ&A』(玄光社)、『「親の介護」は猫にたとえちゃえばいい。』(日本実業出版社)がある。

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