マレーシアの食事情で知るベジタリアンの奥深さ 魚はOK、乳製品もOK、根菜はNGなど実にさまざま

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話をインドからマレーシアに戻そう。

マレーシアで有名なカレーといえば、魚の頭(頭側の半身)を煮込んだ「フィッシュヘッド・カレー」だ。なぜ魚のカレーが広まったのかというと、「牛肉を食べないヒンドゥー教徒」も「豚肉を食べないムスリム」も食べられるからだ。

インド系マレーシア人のベジタリアンには、鶏肉・獣肉は食べないが、魚・卵・乳製品は摂る「ペスカタリアン」が少なくない。

台湾の影響を受けた仏教系の菜食

マレーシアのベジタリアンは、主にインド系と華人。華人には仏教徒が多い。仏教は明確に肉食を否定していないが、仏僧は菜食とされる。

在家信者は忌避の度合いに濃淡があるものの、僧侶にならうベジタリアンもいれば、満月・新月の日や、陰暦9月の齋週間だけ精進料理を摂るなど、ゆるやかな菜食を実践する人もいる。

華人の仏教徒には台湾の影響が見られる。台湾はインドに次いでベジタリアンが多く、人口の13%を占める。「素食」といわれる台湾の精進料理は、肉や魚はもちろん、ニンニク、ショウガ、ネギ、ラッキョウ、ニラなど香味野菜「五薫」を使わない。

日本の禅寺の門前にある「不許葷酒入山門」、つまり「修行の妨げになる、酒や臭いの強い野菜(葷:くん)をもち込んではならない」という戒めと同根だろう。

菜食料理店
華人のほかインド系など、さまざまな民族が集まる菜食料理店(写真:筆者撮影)

このように、一口にベジタリアンといっても、背景も食べないものもさまざまだ。アジア地域の人びとと付き合ううえで「知っておきたいマナー」の1つといえよう。

森 純 文筆業

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もり じゅん / Jun Mori

世界100か国350人以上のメンバーを誇る現地在住日本人ライター集団「海外書き人クラブ」会員。大学を卒業後、出版社で書籍・雑誌の編集を担当。1990年代に長期旅行をした縁で、東南アジア地域の国際協力に従事。東南アジアの社会と人びとの暮らしについて『家の光』『週刊プレイボーイ』『at home TIME』『Lighthouse』「R.E.port」「Animal Compassion」など雑誌・web媒体に寄稿。日本とアジアを往来しながら、複数拠点生活中。

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