ヒンドゥー教徒で禁じられているのは、牛肉。ムスリム(イスラム教徒)は、戒律で豚肉が禁忌とされている。キリスト教では肉食の制限はなく、シーク教も菜食を推奨するグループが存在するにとどまる。
つまり、ジャイナ教徒以外は「宗教的には何かしら肉を食べてもいい人たち」だ。それなのに、なぜベジタリアンが多いのか。
殺生を避ける思想があるインド
インドには伝統的にこれらの宗教を越えて、殺生を避ける思想がある。
例えば、ヒンドゥー教で祭祀を司るバラモン階級などは、「精神を乱すもの」として、肉食全体を忌避する傾向が強い。バラモンなどの上位階級が社会に与える影響も見逃せない。
さらに、菜食料理店が多い理由として考えられるのは、多宗教国家であること。「牛肉が不可の人」や「豚肉が不可の人」が多い社会で会食する際には、どうしても「みんなで食べられる」菜食が選ばれやすい。

器の代わりにバナナの葉にのせて出される、南インド発祥のバナナ・リーフ・カレー。こちらもベジタリアン仕様に変えられる(写真:筆者撮影)

ヒンドゥー寺院の周りには菜食料理店が多い(写真:筆者撮影)

ベジタリアンも食べる豆のカレー「ダール」。ダールはヒンディー語で「ひきわりにした小粒の豆(レンズ豆など)」を指す(写真:筆者撮影)
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