ビットトレントを使うこと自体に違法性はありませんが、ビットトレントを使って共有されたファイルに著作権者がいる場合、上記②や③のピースの送信行為(送信できる状態に置くことも含みます)は著作権侵害となり違法となってしまうわけです。そして、映画、ドラマ、AV作品等の映像作品は、そのほとんどに著作権者が存在します。
ビットトレントをインストールする人は、ビットトレントを使って特定のファイルをダウンロードして視聴を楽しむことが目的であり、別の人に特定のピースを提供しようとは思っていない人が多数だと思います。
ですが、ビットトレントが上記の仕組みである以上、ビットトレントを使って特定のファイルのダウンロードをすると、ビットトレントの起動中、そのファイルのアップロードもしていることになります。
なぜ急に損害賠償請求が増えたのか
ビットトレントは2003年にリリースされたソフトです。なぜここにきてビットトレント利用について損害賠償請求が増えたのか?という疑問が出てきますよね。
著作権侵害で損害賠償請求をするためには、著作権侵害をした人が誰なのかを特定する必要があります。ビットトレントではユーザーの氏名住所が表示されるわけではないので、著作権者からすると、以前は、著作権侵害をした人を特定するためのハードルが高かったといえます。
しかし、近年は技術の向上により、特殊なソフトを使って、ビットトレントにおける特定のファイルの提供者のIPアドレス、ポート番号、発信時刻(タイムスタンプ)を記録することができるようになっています。
そして、これらの情報を元に、著作権者が該当のIPアドレスを管理しているプロバイダーに対して「発信者情報開示請求」を行うことで、著作権侵害をした人の氏名や住所を把握することが可能となっています。
また、2022年のプロバイダ責任制限法の改正により発信者情報開示命令手続が新設され、以前より早期に発信者を特定できるようになった、という事情もあると思われます。
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